セラミックスとは

セラミックスは無機材料のうち高温で処理した非金属材料の総称です*。
セラミックスは金属、プラスチックとともに三大材料と呼ばれている社会にとって重要な材料です。
セラミックスの特徴を掴むために先ずは下記の性質で3つの材料を比較します。

*米国セラミックス協会(ACerS)では “ceramics are nonmetallic, inorganic, crystalline materials. “
と定義されています。
つまり、ACerSでは非晶質材料(ガラスなど)が含まれていません。
ただし機能として共通部分が非常に多いと併記され歴史も一緒に説明されています。
同類あるいは実質同じモノとして扱われています。

セラミックスのプラスチックや金属との代表的な特性の比較

材料の特性は化学結合の種類や、結晶構造、不純物の有無などに関係しています。
よく比較される項目について概要を示します。

1. 耐熱性

熱的特性のうち「耐熱性」は物質が高温にさらされても形状や機能を維持する能力を指します。
この特性は主に結合の種類や強さに関係します。
ごく定性的に強さを並べると共有結合>イオン結合>金属結合>分子間力となります。
このうちセラミックスは共有結合やイオン結晶により構造化しています。
共有結合やイオン結合の多くは例えば結合エネルギーが高く容易に解離しません。
そのため多くのセラミックスは高い耐熱性を持ちます。
一方、プラスチックは共有結合を有しながらも熱による変形など構造上の柔軟性を持ちます。
この柔軟性はプラスチックが共有結合による長い分子鎖で構成されている一方で
鎖同士は分子間力が働いていることに起因します。分子間力は共有結合に比べて非常に弱いため、
高温になるとまず分子間力による結合が破れることで分子鎖同士の滑りや運動が活発になりやすいです。
またプラスチックは一般的にアモルファス(非晶質)部分を有していたり、軽元素(例: 炭素、水素、酸素)を主な構成成分としていることも耐熱性に影響しています。アモルファス部分では分子鎖の動きが比較的自由であり、熱により簡単に柔らかくなるため、耐熱性が低い傾向があります。軽元素は原子の振動が重い元素よりも活発になりやすいです。
金属結合は共有結合やイオン結合よりも弱いので高温になるとセラミックスよりは結晶格子が変形しやすいです。また構造内において電子は自由に動ける状態のため(非局在化)、ズレが起きやすくセラミックスより大きくひず無事ができます。

2.耐腐食性

耐食性は、物質が化学的環境(酸、アルカリ、酸化、還元など)に対して劣化しにくい性質を示します。

この特性は主に結合の種類や表面の化学反応性に関連します。
セラミックスは共有結合やイオン結合が主体で、これらの結合は結合エネルギーからも化学的に安定であり、同時に高い耐食性を持ちます。
ただし、特定の環境(例: 酸化物セラミックスが還元性環境やアルカリ性環境下にさらされる)では欠損が生じたり反応が進行することがあります。
共有結合性の強いセラミックスはイオン結合性のそれよりも化学的安定性が高いとも言えますが、個別に耐腐食性は大きく異なるため、
画一的な耐食性の予想は難しいです。
金属は材料全面で反応したり局所的な環境(異種金属との接合部)では腐食が進む場合があります。一方で表面が酸化して不動態を形成することで耐食性を示すものがあります。これらの腐食特性を制御して表面処理(熱・化学ほか)したりあるいはコーティングする(プラスチック含む)ことで耐食性を向上させています。

3.電気的特性

電気的特性は、材料が電気をどの程度通すか、分極するか、または絶縁するかの性質です。
主に結晶構造内の電子やイオンの移動度に関連します。
プラスチックはその基本骨格として炭素(C)と水素(H)(場合によっては酸素(O)や窒素(N)が共有結合しています。
共有結合では電子が原子間に強く束縛されており、自由電子が存在しません。そのため、電子が移動して電気を運ぶことができず、多くのプラスチックは電気を通さない絶縁体となります。
セラミックスも一般的に絶縁体として知られていて、実際に碍子などは高圧での絶縁体として社会を支えています。一部のセラミックス(例: 酸化チタンや酸化亜鉛)は、「バンド」エンジニアリングにより半導体特性を付与できる場合があります。
金属は自由電子が非局在して構造内に存在するため、電気伝導性が高いです。

4.硬さと延び易さ

硬さは材料が外力によって変形しにくい性質を指します。延び易さは材料が破壊されずに塑性変形できる能力を指します。これらは主に材料内の結合の種類と結晶構造に依存します。

プラスチックの多くは高分子鎖が絡み合った構造(アモルファス部分)や結晶性部分を持つ半結晶性材料です。
結晶性が高いほど、分子鎖の動きが制限され、硬さが増します。逆に言うとアモルファス部分をもつプラスチックは硬くなりづらいということです。一方で延び易さは硬さとは逆の挙動となります。
金属の硬さは3つの材料では中程度です。しかし合金化により「転位」の動きを抑制したり熱処理による高硬度の相形成などで調整が可能です。
セラミックスは強い共有結合やイオン結合を持ち、結晶構造が規則的で原子間距離が短いため、外力による変形が起こりにくいです(硬い)。また、電荷反発により転位の移動が困難であるため、塑性変形がほとんど起こりません(延びにくい)。